院長から

施設の「アマビエ」

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九州を中心とする連日の大雨被害に、例年にも増して梅雨明けが待たれます。被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

先週から、施設のロビーカウンターに「アマビエ」のスタンプを置きました。新型コロナウイルス感染予防の意識づけや収束への願いもこめて、「ちょっとほっとする」ように、と思ったものです。まずは職員が、そなえつけの紙に押して楽しんで(?)います。

「アマビエ」とは、少なくともわたしは今回の新型コロナウイルスのことが起きるまで知らなかったのですが、江戸時代から日本に伝わる妖怪なのだそうです。「海中から光を輝かせるなどの現象を起こし、豊作、疫病に関する予言をしたとされる(ウィキペディア)」とのことです。そもそもは肥後の国(現在の熊本県)の海に毎夜光るものが出るので、土地の役人が視察に行ったところ妖怪が現れ、「疫病が流行したら私の姿を写し人々に見せなさい」と言って海中へ入っていった。右は肥後の役人が江戸へ報告した時の写しである――と、江戸時代の瓦版に、髪を長くたらし下半身は魚のような横向きの「アマビエ」が描かれています。

今回のコロナ禍にあって、この妖怪を「再発見」したのは誰だったのでしょう。江戸時代の人々と同じものに手を合わせているわたしたち――時代も洋の東西も問わず、困難にあって人知の限界を知ったとき、人は何かに祈らずにはいられないのでしょう。

アマビエが「生まれたところ」が、今回の九州豪雨で最大の被害を受けた熊本であったことを知り、複雑な思いがよぎりました。国や自治体の支援は無論ですが、わたしたちも自分に出来ることをしたいものです。