院長から

「遠くへ行きたい」

投稿日:2020年9月2日 更新日:

8月と9月の間に、お天気の暦に1本くっきりと線を引いたかのようにいっきに涼しくなりました。とはいえ、九州地方は台風に襲われ、東北地方は暑さも降雨量も極端な日が続きます。早朝新聞を取りに行くと、外では虫の鳴く声……。虫も涼しくなったのがわかるのでしょうか。

きょうは9月1日、防災の日です。いうまでもなく大正12年の関東大震災の日にちなんでいるわけですが、近年わが国では8月末から9月にかけて、自然災害が立て続けに起きています。この度の水害の被害に遭われた皆様にお見舞い申しあげます。

さて、コロナ禍にあって、気がねなくそちこちに出かけることが難しくなり、半年が過ぎようとしています。大人げないと思いつつ夢見るのは、ドラえもんの「どこでもドア」。瞬時にして今いる場所から目的地へ移動できたら、どんなにか便利でしょう。車椅子利用の方には文字通り「百人力」です。ドラえもんの作者、藤子不二雄先生はどんなときにこのアイディアが頭に沸いたのでしょう。あるいは、ご自分やご家族が病気で自由が奪われがちなときだったかもしれません。「行きたいところに行けない」「気軽に出かけられない」状況は、普段ベッド上で暮らすことが日常になっている方々の窮屈さに改めて思いを致すことになりました。

ドラえもんがどこでもドアであらゆる世界を行き来したように、私たちも想像の中で、書物や映画を介して、様々な場所へ出かけることができます。その時のテーマソングを、名曲「遠くへ行きたい(永六輔作詞、中村八大作曲、ジェリー藤尾歌)」に決めてみましたがいかがでしょうか。多くのツールを通じて映像を伴った情報が瞬時に手元に届く現在、わたしたちは「想像」のなかでしばし別世界で過ごすことが可能です。時には目を閉じて、現世を離れてみませんか。

 

※夜になって、きょうがドラえもんの誕生日だったと知りました(2112年9月3日)。この頃たびたびドラえもんの秘密道具のことを思いだし書きたくなったのは、彼からのサインだったのかもしれません。