院長から

アフガンの大統領に柩をかつがれた日本人 中村哲さん

投稿日:

昨日は、アフガニスタンで灌漑事業、農業支援に取り組んでいた医師、中村哲さんが現地の武装勢力から銃撃を受け、亡くなって1年の命日でした。アフガニスタンの貧困や疾病を減らすために必要なのは、医療にも増して「水」であるという考えから、水路を作るために自らも石運び作業をしている場面をニュースでご覧になった方もあるでしょう。

その後アフガニスタンの治安は改善に向かっているわけではなく、他国からの援助が減額になるなど、苦難が続いていますが、中村さんの遺志を継いだ人々や団体が、コロナ禍でも活動を継続中です。現在、彼の遺した用水路や、そこからの水で茶色だった土地が緑になったという実績は、多くの農民の「定住」と、新たな農業の成果を生んでいるとのことでした。

中村さんが亡くなったとき、アフガニスタンの大統領は柩に寄り添い、その柩をかついだとのことです。昨夜のラジオの追悼番組で、ゲスト出演者のひとりが「その場に居合わせたわたしたち日本人は誇らしかった」と話しているのを聞き、わたしも胸のうちで大変誇らしく思いました。

日本は水に恵まれており、わたしたちはトイレの水洗も「きれいな水」で流すことを当然のこととして暮らしていますが、こんな贅沢な水の使い方ができる国は世界にそう多くはありません。干ばつや戦禍に苦しむ国では、子どもたちが命がけで水を汲みに行き、その水が汚染されているために、飲んで命を落とすことがいわれています。感染予防のため、いつもの冬以上に手洗いの重要性が言われているとき、手洗いと飲み水のレベルが同一である日本人の暮らしは、世界でも特筆される清潔度であることをあらためて思い出すことになりました。