院長から

「復興祈念コンサートのこと」その2

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「鎮魂の舞と希望の調べ」第2部は小山実稚恵さんのピアノコンサートでした。演奏曲は「シューベルト 即興曲変イ長調 作品142-2、即興曲変ホ長調 作品90-2」、「ショパン ノクターン第21番ハ短調 遺作」に始まり、「子犬のワルツ」や「ポロネーズ 英雄」等でした。比較的ポピュラーな演目であり、聴衆も小中学生から高齢の方まで小山さんのピアノを楽しみにしている感がありました。

小山さんは優しい表情を浮かべ、深々とお辞儀をして演奏を始めました。プログラムの終わりに一礼するのみで、お話はありませんでしたが、演奏に力が入っていることは充分伝わって来ました。3.11のあと、何度も第二の故郷である岩手に(小山さんは盛岡育ちです)足を運び演奏をしてきた方であり、『震災から10年』という今回のコンサートに思うところがあったのでしょう。演奏に沢山のあたたかな言葉がこもっているかのようでした。

さて、福寿荘ではロビーの一隅で「3.11 東日本大震災」関連展示を行っています。掲示された震災直後の写真を見て、「ここにわたしがいる、〇〇さんも」という職員もあれば、震災当時小学生だった若い職員もおります。当時福寿荘では、津波で施設が流され、多くの犠牲者を出した沿岸の施設から9名の入所者を(迎えに行って)受け入れました。当時の臨時の勤務表も掲示してあり、職員の頑張りや、様々な支援を続けてくれた業者の皆さんの協力を思い出し、胸が熱くなります。3.11の震災は不幸なことでしたし、”ものを考えるきっかけ”というには代償が大きすぎました。それでも敢えて言うなら、震災後、日常の大切さを口にし、感謝することが多かったことを憶えています。

あれから10年、内陸にいるわたしたちは、決して沿岸のことを忘れてはいません。職場としても、個人的にも、出来る支援を続けたいと思っています。