院長から

「南仏の風」に吹かれて

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きょう5月12日の胆江日日新聞 社会面(7面)に大きく取りあげられた、江刺出身のピアニスト、ベイジー菊地聖子さん(南仏在住)の慈善コンサート「フランス音楽の午後」。今のこのコロナのことがなければ、ベイジーさんには福寿荘のロビーでミニコンサートをして頂く予定でした。ベイジーさんは数年前の帰国の折に、福寿荘入所者に面会にいらした際、ロビーのグランドピアノに目を留め即興で演奏をして下さった方でした。

ベイジーさんは、同じ南仏在住の日本人女性、カザボン田嶋三保子さんと、東日本大震災から10年目の今年「岩手を訪れて、岩手のために何かをしたい」と思っていたのだそうです。それがコロナウイルスの影響で海外との往来が難しくなり、来日を迷うベイジーさんを「こんなとき(コロナ禍)だからこそ、岩手へ音楽と募金を届けましょう」とカザボンさんが後押しして下さったのだそうです。

わたしがベイジーさんに福寿荘での演奏が難しくなったことを告げたとき、ベイジーさんは「『今の奥州市の状況では難しいかも』とは私も思っていました、でも私たちは、出発前も、入国直後も、その後の滞在期間中も何度もPCR検査と健康チェックを受けています。私たちはかなり『安全』なのですけど……」と残念がっておいででした。次回の来日のチャンスには、きっと施設での演奏を、と約束してお別れしました。聞けば、ベイジーさんが敬愛するお父様(故人)はお医者様だったとのこと。「私たちの今の『心の筋肉痛』を乗り越えるためにも、音楽の力を信じたい」というベイジーさんのことばは、お医者さんの娘さんらしくもありました。

福寿荘ではいま、コロナワクチンウイルス接種に向けて準備が進んでいます。多くの入所者、職員がワクチン接種を終えたあとには、今よりは安心して来訪者の受け入れや行事の開催が可能になることを心待ちにし、引き続き感染予防に努めてまいります。