日本人は記念日(『〇〇の日』)好きといわれています。たとえば「六」の字を「む」と読んだり、「介」という字は人が人を支えているというふうに形から文字に意味づけをしたり、或いは様々な「語呂合わせ」をして、沢山の「今日はなんの日」を作っています。
6月19日が「ろうどく(朗読)の日」とは知りませんでした。朝日新聞の『天声人語』によると、コロナ禍の巣ごもり需要でオーディオブック(朗読本)の利用者が増えているといいます。わたし自身はときどき朗読CDを聴きますが、耳で書物を聴くことによって、作品の新たな魅力に気がつくことがあります。
さて、今年の夏至は6月21日でしたが、夏至の日は「世界キリンの日」なのだそうです。1年のうちで一番昼が長いことと、動物の中で一番首が長いことが、この日をキリンの日と決めた理由なのだそうです。毎日が「何かの日」であるのは、日本に限ったことではありません。ヨーロッパのカレンダーには、国民の祝日やキリスト教の行事、イースターやクリスマスの他に、毎日その日の「聖人」が書いてあります。例えば2月14日は「聖ヴァレンタインの日」というように。
あらためて施設の事務室にある日めくりカレンダーで確認しますと、やはり1年中365日が何かの日ですし、6月21日は「夏至」と並んで「冷蔵庫の日」とあります。これは、日本電機工業会が、例年冷蔵庫が最も活躍する梅雨から夏への節目の日である夏至を「冷蔵庫の日」と制定したとのことです。
一方わたしたちは、国や特定の業界が定めた記念日を、暮らしの中で意識することはほとんどありません。自分や家族の記念日、職場や学校のイベント以外の日は「名前のない日」を過ごしている人の方がずっと多いことでしょう。たとえ決まった時間に家を出て、いつもの職場や学校へ向かう、「同じような」日であったとしても、「全く同じ」日はあり得ないということは、既に今日という日が「特別な1日」なのだと思います。