院長から

ピアノと三味線のコラボレーション

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先日、一ノ関文化センターで行われた、兄弟の三味線奏者ユニット『吉田兄弟』と、同じく兄弟のピアノ演奏ユニット「レ・フレール(フランス語で『兄弟』の意)」のスペシャルコラボコンサートへ行ってきました。「レ・フレール」がデビューしたての頃、北上へコンサートを観に行った際、その演奏スタイルに驚き目を見張ったのがおよそ20年前のことです。今回は三味線の「吉田兄弟」と、和楽器と洋楽器のコラボレーション、加えて「2組の兄弟」による共演という、なかなかに珍しい機会とあって、楽しみに出かけました。吉田兄弟の演奏を聴くのは初めてですが、テレビやラジオでそのばちさばきや楽曲にはなじみがあります。

ステージは4人の合奏で始まりました。「レ・フレール」の力強いピアノの旋律に、鋭い三味線の響きが重なります。オープニングから数曲は兄弟2組が一緒に演奏し、やがてそれぞれが自分たちのオリジナル曲を演奏しました。

「レ・フレール」の演奏をはじめて見たときは、驚いたものです。それは「キャトルマン(4本の手)スタイル」という奏法で、1台のピアノを2人で連弾するのですが、曲の途中で何度もお互いが位置を交換しながら、時には立ち上がって弾いたりと、音だけではなく「演奏する姿を見る」ことも楽しめるようになっています。今回の三味線の吉田兄弟との共演では、長いキャリアで培った力強い音と、「これが人間技?」と思うほどのピアノタッチに凄味さえ感じました。

一方の三味線の吉田兄弟も、負けてはいません。トークでは「なぜか僕たち、なかなか東北には呼んでもらえないんですよね(※吉田兄弟は青森出身)」と話していました。昔ながらの津軽三味線の奏法と楽曲を愛する方の中には、革新的なスタイルをこころざす吉田兄弟の活動を、諸手を挙げて歓迎する気持ちにはなれない人もいる、ということなのでしょうか。

この2兄弟のコラボレーション企画が始まってから、今年でまる3年なそうですが(2組とも、「お互いとても気が合う」と話していました)、東北でコンサートを行うのはこれが初めてなそうです。この日の開演前のフロアは、沢山の素敵なファッションの女性たちと、20名ほどの夏の着物を着たご婦人がいました。誰もがおしゃれをして出かける機会を待ちわびていたのだ、と、嬉しい気持ちになりました。

ステージの圧倒的な迫力のせいか、会場はいささかロックコンサートのような雰囲気でもありましたが、観客はマスクを着用し、声を出すのを我慢。そんな中でプログラムは進み、終演の4人の挨拶に、客席の皆は高揚した気持ちと感謝を伝える万雷の拍手とスタンディングオベーションを贈り、幕は閉じました。