院長から

「東京2020」に輝くビクトリーブーケ

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議論百出、賛否両論、紆余曲折、侃々諤々(かんかんがくがく)…。開催の有無についてさえ何度も取り沙汰された東京オリンピックが開幕して、一週間が経ちました。開会までの道筋がどのようなものであれ、オリンピックを目指して人生を賭して励み、出場にこぎつけたアスリートたちは、何が何でも開催してほしかったことでしょう。いざ始まってみれば、自宅でテレビ観戦する分には「無観客」もそれほど気になりません。日本選手勢が次々にメダルを獲っていることもあり、一定の盛り上がりを見せています。

さて、今回のオリンピック、表彰台に上がったメダリストに手渡される「ビクトリーブーケ」と呼ばれるお祝いの花は、東日本大震災で被災した3県の花が束ねられています。岩手のリンドウ、宮城のひまわり、福島のトルコキキョウです。3種の花がブルーのリボンで大会マスコットと結ばれ、メダリストに手渡され、それを表彰台の選手が高く掲げて喜びをあらわすとき、わたしの目は選手の表情よりもブーケを追っています。このブーケは、2016年のリオデジャネイロ大会、2018被災地年の平昌冬季大会では「日持ちしないから」という理由で無かったものでした。それが今回、被災地で育てられ、「夏に強い花」として選ばれ、表彰台に届けるまでの品質(鮮度)を保つことを条件に「ブーケ」が再登場したといいます。コロナに押されて忘れられがちだった「復興五輪」を表わそうと、被災地の方たちが世界中への感謝の気持ちをこめて作っています。

このブーケをつくる様子をテレビで観ましたが、花の鮮度を保つために、作業する人たちは室温15℃の作業所でダウンを着こみ、襟巻きをして働いていました。あの方たちも、テレビ中継があるときは「もっとブーケを映して!」と思っているのかもしれません。

ところで、「東京2020」の2体のマスコットはどちらも市松模様の服を着ていますが、青い服のオリンピックマスコットは『ミライトワ』、ピンクの洋服のパラリンピックマスコットは『ソメイティ』という名前だということはご存じでしょうか。わたしは「マスコットの名前決定」のニュースが2018年当時報じられた後、瞬時に忘れ、今回あらためて調べた次第です。実はこの福寿荘の中にも、このふたつのマスコットが飾られています。遅ればせながら、今日ふたりに名札をつけることにしました。