院長から

月にうさぎ

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「院長、毎年このカウンターに飾るうさぎはどこにありますか?」と、施設内の某部署で尋ねられ、はっと気がつくと、もう9月1日。「防災の日」とあって、5年前に岩泉町を襲った台風の甚大な被害や、7月の熱海の土石流のことや、施設の防災について物思いにふけっていたところでした。

あらためて施設周辺を見渡せば、稲には実が入り、田園は黄金色に色づき、その穂を重たげに垂れ始めています。年のはじめから新型コロナウイルスへの対応に追われながら、そして入所者さんの体調管理のために、日々の天候や気温の変動に注意して一日一日を送っているうちに、季節は明らかに変わっていました。

遠くに見える月面の影がうさぎに見えた古人(いにしえびと)は、なんとロマンティックだったのでしょう。「月にうさぎ」は、日本人の多くが「似合いのもの」として語ります。ロビーに飾った3匹の陶製のうさぎは、並んでいる日もあれば、いつの間にか向き合っている日もあります。通りがかる誰かが動かしているのでしょうが、皆が目を留めて下さるあかしなのだな、と、いつも嬉しく感じています。