院長から

立春にはお雛様を飾ります

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節分の一夜があけて、2月4日は立春。ことばだけでも暖かい気持ちになります。昨年と今年は、雪の多い「春」になりましたが、福寿荘ではこの日を、お雛様を出して飾る日と決めています。

1年ぶりに箱から出てくる雛人形たち。決まった季節に決まった人形を飾る風習は、世界中にどれくらいあるでしょう。福寿荘では、大きな木目込の立ち雛や、昔ながらの衣裳人形をメインに、戦前の芥子雛(けしびな)、岩手の花巻人形、遠野の附馬牛(つきもうし)人形、福島の三春人形等々…。郷土色豊かな土人形のお雛様を、施設内のそちこちに飾ってあります。

コロナウイルス感染の心配のない年であれば、在宅サービス(デイサービス、ショートステイ)利用の皆さんにも施設内をめぐって色々なお雛様を見て楽しんでいただくのですが、今はそれも叶わないのが残念です。お雛様を取り出していると、職員が足を止めて出すのを手伝ってくれたり、自分の家のお雛様ののことを話してくれることがあります。職員からよく聞くのは、「娘が小さいときは毎年飾っていたけれど、この頃はしなくなった」とか、「うちのお雛様も、ちゃんと出してあげなきゃかわいそうですよね」といった類のことばです。もともとは『人形(ひとがた)』で身体を撫でることで身体のけがれを移し、川や海に流したことが、桃の節句のはじまりと言われます。豪華な雛飾りをするようになったのは室町時代からとのことですが、そのような背景(起源)があるのも、持ち主に「自分の代わりに厄災をしょってくれるものとして、毎年飾ってごちそうをあげないと申し訳ない」という気持ちにさせるのでしょうか。

今、だれもがコロナ禍にあって、「厄」や「穢れ」を払うのに良いと言われるような伝統行事は、是非行いたいと思っているかもしれません。みなさんも、3月3日の雛の節句まで、無心に雛人形の愛らしさを味わいませんか。