常務(前院長)だより

冬の花

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初雪が降って間もなくから、根雪になりそうな気配の今冬。つい先日までは、施設の庭にある花を切ってそちこちに生けていたのですが、積雪のおかげでさすがにそれはかなわなくなりました。中庭の椿も山茶花(さざんか)も、冬になっても凛とその花を咲かせていたのに、今は白い花びらが雪に焼け、茶色味を帯びてうなだれています。

岩手県出身の巽聖歌が作詞した唱歌『たきび』の中に、「さざんかさざんか 咲いた道 たき火だたき火だ 落ち葉たき」とあります。子どもの頃、「さざんか」の花の名を口にする大人は、少なくともわたしの周囲にはおらず、そこに続く歌詞から漠然と、生け垣に咲く花なのだろうと思っていました。長じて、山茶花は椿とよく似た木であることを知りました。施設の中庭にも混在しています。花を切りながら「どっちがどっち?」と思うこともありましたが、今は迷いません。花びらが散るのが山茶花、花ごとぽとりと落ちるのが椿です。

多くの草木が枯れた中庭で、どちらの木も「冬の緑」に輝いています。

今年は昨年から続くコロナ禍に加えて、人心を揺する世界的な事件がいくつも起こったり、止まらない物価の上昇に誰もが悩まされたりと、心穏やかに過ごすことが難しい一年だったと言えるかもしれません。そんな中でも、施設運営に際してあたたかいご助力や励ましのお言葉を下さった皆様に、心からのお礼を申し上げます。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年最後の「常務だより」でした。皆さん、どうぞ良いお年を。