コロナ禍で演劇や音楽の公演が長い休止に入って、早や1年近くになろうとしています。NYのブロードウェイは、とうとう2021年3月末日までの休演を決定、発表しました。日本でも大小の劇場や音楽ホール等も公演が軒並み休演になり、仕事がなくなった人たちがその窮状を訴えています。
そのおかげで(?)、今までは”舞台の人”たちであった方々がテレビに出演することが増えています。今秋のテレビドラマの中でも最も話題を集め、先頃最終回が放送された「半沢直樹」にも、多くの歌舞伎界の若手スターが出演していました。一度の公演が一ヶ月間、朝から晩まで続く歌舞伎の公演が休みだったからこその「怪我の功名」だったと言えるでしょうか。今後、演劇界がもとに戻ったときには、テレビで覚えた歌舞伎役者を観るために人々が歌舞伎に足を運ぶことも期待されます。
同様に、舞台がなくなったおかげで(?)テレビやラジオに引っ張りだこなのが、ミュージカル俳優たちです。さる10月10日にWOWOWで放送された番組「ザ・ミュージカルコンサート 帝国劇場」は、8月に帝劇で行われた公演の録画放送だったのですが、帝劇で上演されたミュージカルの主要メンバーたちが’60年代からの帝劇ミュージカルのヒットナンバーを歌い踊るという、ファンにとってはこの上なく贅沢なものでした。司会は井上芳雄さん。東京芸大在学中にミュージカル「エリザベート」のプリンスとして20才でデビューしてから20年、いまだ斯界では「プリンス」と呼ばれています。
ところで、この「プリンス」が3年前、水沢は福原の田んぼの真ん中で、我らが郷土の偉人、後藤寿庵についての番組でナレーターをつとめたことをご存じでしょうか。当時の胆江日日新聞に、「慈しみの大地~生きている寿庵 ナレーターは井上芳雄さん」と載った見出しを見て、わたし同様に驚き、会えなかった(見られなかった)悔しさに歯ぎしりしたファンもあったに違いありません。今回のWOWOWを見ながら、ステージを観る日が近からんことを切望したわたしです(なんと「プリンス」も、「半沢直樹」に出演していたとは、驚きでした)。