今年も残すところ、わずか数日となりました。今年も多くの皆様のご厚誼を頂きありがとうございました。この頃は毎年、1年の早さに驚くばかりです。
コロナ禍でなにかと制限のあった年でしたが、落ち着いた時期を見計らって、県内での音楽会に何度か足を運びました。そして、生まれて初めて年末に生の「第九」の合唱を聴きました。12月22日に盛岡で行われた「華麗なるガラコンサート」は、長引くコロナ禍で演奏の場をなくした、特にもフリーランスの演奏家のために(そしてわれわれ聴衆のためにも)日本クラッシック音楽事業協会が企画したものです。全国13ヶ所で19公演が行われ、そのうちの盛岡公演へ出かけたのですが、かようないきさつがあるため、オーケストラのメンバーはいわば「特別編成」であり、プログラムもバラエティに富んだものとなりました。
そして、あまり耳に自信がなく、クラシックに造詣が深いわけでもないわたしが聴くには丁度良いとも言える、ポピュラーな楽曲が多かったのも嬉しいことでした。エルガーの「威風堂々」に始まり、エンニオ・モリコーネ作曲の、映画「ニュー・シネマ・パラダイス」のテーマ、そしてラヴェルの「ボレロ」というふうに。
2部は古関裕而作曲の「1964 東京オリンピックマーチ」に始まり、オペラの有名なアリアがそれに続きました。「ポーギーとベス」から『サマータイム』、「カルメン」から『闘牛士の歌』、「トゥーランドット」から『誰も寝てはならぬ』です。ちなみに『誰も寝てはならぬ』は、9月の名古屋と東京の公演では、水沢出身の名テノール、福井敬さんが歌い手をつとめました。
フィナーレは、ベートーヴェン交響曲第二番ニ短調「合唱付き」です。日本では年の暮れにいたるところで「第九」のコンサートが行われ、合唱「喜びの歌」が歌われますが、これは世界では稀であり、日本だけの現象なそうです。合唱は、今回は「二期会」の方を中心に40名ほどの編成でしたが、とても驚いたのは、皆さん歌うときもマスクを外さないことでした。楽器の奏者の中にもマスクをしている方があり、そちこちの感染予防対策が目につきましたが、なんとか生の音楽を楽しみたいわたしたちにとっては、「いいとこどり」が「盛り沢山」の素敵なコンサートでした。
いくつになっても、「初めて見た」「聞いた」ということどもを、まだ面白がれる自分に幾分ほっとしているこの頃です。来年も新しい出会いが多からんことを期待しながら、今年を振り返りつつ、残る数日を過ごしたいと思います。
今年一年のホームページ閲覧に、心から感謝申し上げます。来る年も、明るい話題、楽しい話題の提供を心がけます。令和4年も、どうぞよろしくお願い申しあげます。